USCPAの科目であるREGの概要、特徴、注意しておきたいポイント等をまとめました。
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REG(Regulation)とは
REGは大きく税法とビジネス法の2つに大別されます。税法では、個人や法人が納める所得税やその申告手続き、税務上のUSCPAの責任などが含まれます。一方、ビジネス法では、米国におけるビジネス・ローの規定やUSCPAの法的責任などが含まれます。
予備校が開示している試験範囲
アビタス社のカリキュラムを以下に抜粋します。下記の1~10がビジネス法に該当し、12~19が税法に該当します。11、20はUSCPAの税務的・法的責任についての倫理問題に関するトピックになります。
- ビジネス法の概観(Overview of the Business Law)
- 契約(Contracts)
- 物品の売買(Sales)
- 代理(Agency)
- 保証(Suretyship)
- 動産担保取引(Secured Transaction)
- 不動産(Real Property)
- 破産(Bankruptcy)
- 事業組織(Business Structure)
- 政府による規制と連邦証券法(Governmental Regulations and Federal Securities Acts)
- 専門職としての責任(Professional Responsibilities)
- 個人 パート1~4(Individual Part 1-4)
- 資産取引(Transaction in Property)
- パートナーシップ パート1~2(Partnership Part1-2)
- 株式会社 パート1~2(Corporation Part1-2)
- 小規模会社(S Corporation)
- 信託と遺産財団(Trusts and Estates)
- 贈与と遺産(Gift and Estate Taxation)
- 税に関するその他のトピック(Other Taxation Topics)
- 税務申告書の代書作成者の責任(Tax Returen Preparer’s Responsibilities)
AICPAの公表している試験範囲(概要)
以下、2018年1月時点のAICPA BlueprintのREGから、試験範囲の表を以下に載せておきます。AreaⅡのビジネス法はわずか15%の配分しかなく、AreaⅠの倫理関連の問題が15%で、残りの70%が税法からの出題になります(中間値)。

特徴①:FARに次ぐボリューム
REGはFARの次にボリュームが多く、私見ではFARの70%ほどのボリュームに感じました。但し、REGでは、細かい数値を覚える必要があり、FARよりも暗記要素が強い印象があります。
こういった点から、元々、会計知識がある人にとっては、REGが一番ボリュームが多かったと感じやすい科目と言えると思います。
特徴②:ビジネス法は浅く広く、税法は深い理解が必要
全体の15%を占めるAreaⅡビジネス法はSkill LevelがApplication以下のレベルまでしか出題されず、ほとんどの問題がMC中心で出題されます。ビジネス法は配点の割には、範囲が広いことから、「広く浅く」学習することが鉄板になっています。
全体の70%を占める税法(AreaⅢ~Ⅴ)は、Analysisレベルまで出題されるため、深い理解が必要となり、TBS問題に備えてしっかり対策する必要があります。
特徴③:AreaⅠの倫理関連の問題は得点源
AreaⅠの範囲は狭い割に配点比率が高いのが特徴です。難易度はLevel2のApplicationレベルであり、計算問題も皆無であるため、しっかりと対策をすればすぐに時間節約+得点源になります。
会計士の責任、ペナルティ、税務申告の手順など頻出分野を確実に抑えること。また、AreaⅠ、Ⅱは基本的にMC頻出ですが、新試験制度以降ではペナルティ関連の問題がTBSにも出題される傾向にあります。
特徴④:ビジネス法では意外と英語力が求められる
REGの一つの特徴として、ビジネス法を取り扱うことから、法律がらみの英語の表現などが出てくるため、FARと比べると問題によってはやや英語力が必要になってくる問題があります。
個人的な感想では、AUDとREGのビジネス法のところは同程度の英語力が求められる問題が多いような気がします。2択まで絞った後に英語の微妙なニュアンスの違いから、一つに絞り込めないようなケースがあります。
ビジネス法の配分は15%とそこまで高くないため、英語力が合格に直結するかはまた別問題ですが、法律関連の英語は苦手にする人は一定するいるように思います。
特徴⑤:2019年1月から試験範囲が大幅変更
制度改正の影響をもろに受けるため、学習が終わったら早めに受けておきたい科目です。また、直近では、2019年1月から”Tax Cuts and Jobs Act” (Public Law No. 115-97)の影響で試験内容が大きく変更される見通しです。
制度改正直後では、予備校各社が対応に遅れる可能性が非常に高いため、2018年にREGを受ける予定の方は、早めに受験し、年内には少なくとも合格できるようにしておきましょう。
場合によっては、REGを最後の受験科目にせず、先に受験しておくこともありです。
New Tax Lawに関するAICPAのアナウンスのリンクを以下に張っておきます。
特徴⑥:試験時間が圧倒的に足りない
FARと同様に試験時間が全然足らない科目の一つです。テストレット1、2で出題されるMC数は38問と4科目中で最多です。計算問題もそこそこあるため、試験本番では圧倒的に時間が足りなくなること必須です。FARと同様に当日のタイムマネジメントが非常に重要になる科目です。
特徴⑦:他分野との関連が比較的少ない
FARを学習していることは、REGを学習する上で必須条件である。一方で、AUDやBECとの関連性は低い。AUDやBECを学習したからといって、 REGが理解しやすくなったりはしない。
特徴⑧:暗記だけに頼ると失敗する可能性が高い
REGは細かい数値の違いを覚えなければならず、暗記に頼って学習しがちになります。実際、REGを攻略する上で、ある程度効率的に暗記と割り切って対応する必要はあるでしょう。
しかしながら、REGの分野の中で、個人、法人(C Corp.&S Corp.)、パートナーシップ、遺産・財団のBasisのところは、暗記で対応していると内容が混合しやすいため、しっかりとした理解が伴っている必要があります。
また、Form1040関連のTBS問題は、暗記と言うよりものForm1040の税務申告の一連の流れについての理解が必要になってきます。
REGは、学習途中で単純に暗記に陥りやすく、MCを中心に演習している段階では全体像が見えにくく、TBS問題を解いたときに始めてトピックの全体像が見えてくるようになります。
合格レベルでは、さらに一歩、トピック(個人、法人、パートナーシップ、信託・遺産財団、贈与)を跨いだ違いまでしっかりと意識し、論点を跨いだ複合問題でもしっかり対応できるまで理解+暗記が必要になります。
特徴⑨:日本人にとって比較的合格しやすい科目
日本人にとって FARの次に合格しやすい科目と言われています。2013年の日本人の合格率では、以下の通り、平均36.4%と比較的高めの合格率となっています。
比較的に計算問題が多く、税法の計算問題は比較的に得意としている傾向にあります。一方で、「AreaⅠ:倫理と法的責任」や「AreaⅡ:ビジネス法」のところを苦手としている傾向にあります。


出典:Candidate Performance on the Uniform CPA Examination
特徴⑩:Authoritative Literatureの活用が重要
REGの試験では、Authoritative Literatureの活用が他の科目以上に鍵になってきます。新試験制度以降、TBS問題の中には、Research問題とは別にAuthoritative Literatureを使って調べるケース問題が出題される傾向にあります。
試験時間が足りなくなりがちなREGの試験において、素早く事例に沿って、適切な条文を検索して判断するような実務的な問題が出題されます。
FARでは時間がないため、Research問題は捨てるのは一つの戦略だと思いますが、REGの場合では、しっかりと事前にResearch問題の対策をし、素早く条文を検索できるように準備をする必要があります。
最後に
恐らくREGについて調べている方の多くが、最後のREGをどうやって攻略するかを考えていらっしゃると思います。FAR、AUD、BECを受験・合格したら、USCPA全科目合格まであとちょっとです!
2019年1月からの法改正の影響を受ける前に、REGをしっかりと一発で合格できるようがんばりましょう!