USCPAの科目であるBECの概要、特徴、注意しておきたいポイントをまとめました。
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BEC(Business Environment & Concepts)とは
BECは企業を取り巻くビジネス環境全般を対象として取り扱う科目です。以下、アビタス社HPから抜粋します。
BECは戦略立案やオペレーション・マネジメント、財務管理、経済学、情報技術(IT)およびコーポレート・ガバナンスといった膨大な領域を網羅しています。当校では、基本的な概念の理解、およびUSCPA試験対策上重要なポイントに焦点を当てて学習します。(アビタス社HP)
幅広い試験範囲
BECの試験範囲は、大きく出題範囲を分けるとコーポレートガバナンス、経済、財務管理、IT、管理会計の5つに分類されます。
BECの特徴は、各Areaの関連性が低く、独立している点にあります。
経済学、ITといった領域は、個人の前提知識に左右されやすく、人により難易度が大きく異なり、苦手分野を比較的に作りやすい科目と言えます。
また、各Areaの配点の偏りが少ないため、全てのAreaで満遍なく学習して、苦手分野を作らないのがBEC攻略の一つのポイントになります。
アビタス社曰く、BECでは、広く浅く学習することを提唱しており、個別に専門書を買って学習する必要は特にないそうです。

FARと関連性の高い科目
AUDの次にFARと関連性の高い科目がBECです。BECの管理会計とFARの財務会計と表裏一体ですし、運転資本管理(Working Capital Management)のところはFARやAUDと少し重複しています。
FARの基礎知識がBEC学習の基礎となっているので、FAR学習後にBECの学習を開始する必要があります。
また、簿記2級の工業簿記がダイレクトで管理会計の分野で活きてきます。簿記2級の知識があれば、この分野は英語での問題形式に慣れるだけになります。
特に簿記2級の学習経験がない方、管理会計の分野で少し苦手意識を感じる人は、あえて簿記2級の参考書に軽く目を通すこともオススメです。
僕自身もUSCPAの学習を始めるよりちょっと前に、簿記2級を一通り勉強するために本書を利用しました。
工業簿記だとTAC社の出版している「スッキリわかる日商簿記」シリーズが非常にわかりやすいです。TAC社の「合格テキスト」シリーズは独学で軽く読む人向けではなく、予備校で講義を受ける人向けの参考書ですね。
「スッキリわかる日商簿記」の最新版(第6版)を以下に紹介しておきます。(第7版は2/24発売)
スッキリわかる 日商簿記2級 工業簿記 第6版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)
AUDと関連性の高い科目
意外とコーポレートガバナンス(内部統制、リスクマネジメント含む)のところはAUDと関連性がやや高いため、AUD学習後であれば、よりコーポレートガバナンスの範囲は理解が深まる点も特徴として上げられます。
僕は、BECだけでコーポレートガバナンスを学習すると、かなり知識的に手薄・全体像が把握しずらいように感じました。アビダス社テキストのわずか3章分(全20章)のところに全体の17~27%の配分がありますので意外と要注意です。
AUD直後にBEC学習すると、このコーポレートガバナンスのあたりは学習しやすく、得点源にすることが出来ると思います。計算問題がなくほぼ知識問題のため、この分野を得意分野にしておけば時間の節約にも繋がります。
TBSが新規追加されたこと、科目の難易度(2番目に難しい)、WCがあることから考えると、FAR/AUDを学習後にBECを受験するのが個人的にはおすすめです。
アビタス社では、FAR⇒BEC⇒AUD⇒REGの受験順番を推奨しています。
新試験制度(CBT3)からTBS問題が新規追加
新試験制度になって、一番影響があった科目がBECになります。TBSが新しく追加され、MCの配点が減った(MC85% ⇒ MC50%)のが変更点になっています。
新試験制度(CBT3)
BEC配点:MC50%, TBS35%, WC15%
過去の旧試験制度で合格者の体験談を見ると、以前は、MCが85%の比率であったため、MCだけ対策し、WCをほぼ対策なしでBECを突破している方が一定数いらっしゃいますが、新試験制度になってからはWCを対策せずにBECを合格できる方は非常に難しくなったといえます。
新規追加のTBSをほぼ失点せずに回答するのは難しいため、WC対策が必須となったと捉えても良いと思います。
旧試験制度で合格された方の中には、WC対策をせずに合格を目指すことをBECの対策としている方がいますが、新試験制度でWCを捨てるのはやめておきましょう!
USCPAの受験料高いですし、お金もったいないですからね!
科目あたりの受験料=出願料$50-200+受験料$208.4+会場使用料$356.55
BECのTBSへの対策については、以下の記事にまとめています。

唯一、Written Communication(WC)がある
BECを受験する際に最も気になる(苦戦する)のがWCです。
WCは頻出範囲の指定などは特になく、残念ながら、どこの範囲から出題されるか山を張るのは非常に難しいです。
WCの配点が15%あり、3問中1問がダミー問題(採点されない問題)のため、実質的に1問で7.5%の配分があります。
WC対策の詳細は、下記の記事を参照してください。


DRS/Research問題
BECには出ませんので対策不要です。DRS/Research問題はFAR、AUD、REGで出題されます。
BECは日本人が苦手とする科目(AUDと同様)
BECを苦手とする日本人が統計値から多いことがわかっています。米国人受験生の間では、このBEC科目が最も難易度の低い科目と言われており、2017年の受験者全体の合格率も見てもBECが一番合格率が高いです。

但し、2013年の日本人の受験者データから確認すると、BEC合格率はわずか28.1%とAUD合格率28.6%により実は合格率が低いです。アビタス社曰く、一般的にBECは2番目に日本人にとって難しい科目だそうです。
尚、2013年のデータは、USCPAブロガー「なおやじ」さんのところから頂戴しました。参照した記事も非常に興味深い内容でしたので、是非、ご一読ください。

最後に
BECは試験範囲が多岐にわたり、人により得意・不得意が大きく分かれ、かつWC問題があるなど、4科目の中では特異的な科目です。BECに対しての対策の仕方も、他の科目と差異が出てきます。
USCPAの試験の中で、日本人にとって難関なAUDとBECを如何にして突破するかが、USCPA全科目合格に取って重要なポイントと言えます。
特にBECについては、現状でできるだけの対策を取り、試験に備えるようにしましょう。